これまでの一般質問(抜粋)

令和6年 6月定例会

下水道事業について


⑴ 企業価値の向上

Q1 そもそも公営企業は料金収入をもって経営を行う独立採算制を基本原則としており、その意義は利益追求ではなく公共の利益や安定化を最優先に考えるとともに、社会全体の福祉を向上させるものと理解しております。

しかし、そうとは言え、時の流れや人口減少を始めとする社会情勢の変化による影響は大きく、これまでにも増して経営環境の変化に対して、柔軟且つ適切に対応した経営改革に取り組むことが、これからの維持管理運営上、重要であると考えております。

上下水道は市民生活や経済活動に不可欠なライフラインであり、本市は将来を見据えて、令和3年3月に「岡崎市上下水道ビジョン」を策定されました。

本ビジョンの施策方針において「企業価値の向上」が掲げられており、現状分析から実施すべき施策が掲載されております。ビジョン策定から約3年が経過しましたが、これまでの主な取り組みについてお聞かせください。

A1 上下水道は市民生活に無くてはならないライフラインとして、これまで市民の暮らしを安定的に支えてきました。しかし近年では、将来人口の減少に伴う収入の減少が見込まれる中で、事業を支える管路や施設の老朽化や地震等の災害に備えた対応が必要となる等、上下水道事業を取り巻く状況は厳しさを増しています。

昨年度、下水道事業については事業開始から100周年、水道事業については90周年を迎えたところであるが、今後も持続的な事業運営を行い、次の100年に向けて市民の暮らしを守っていくことが必要である。

そのためには、上下水道事業のプレゼンスを高め、上下水道の役割や事業が抱える課題等を「見える化」し、市民の皆様にしっかりと理解していただくことが必要となるが、情報発信を効果的に実施していくために、上下水道事業の包括的な報告書である「上下水道事業サービスレベルリポート」を令和4年度から発行し、上下水道事業の課題や旬のトピックス、経営状況等の公表に取り組んでいる。

また、今年度、上下水道部サービス課にお客様サービス係を新設し、お客様に求められるサービスの内容を的確に把握し、提供する方法について研究を進めている。これら良質なサービスの提供に向けた取組に継続して取り組むことにより、企業価値の向上を図っていく。

Q2 確かに、市民の皆さんに知っていただくことは、今後の事業展開においても必要な基盤づくりと言えます。令和4年度から発行されている「上下水道事業サービスレベルリポート」ですが、2022年度版と2023年度版を見させていただきました。技術的な取り組みや決算状況、将来的な各取り組みの目標値まで見やすく掲載されてありました。

しかし、市民の皆さんに、こうした資料を手に取っていただく機会は少ないのではないかと考えます。もっと気軽に上下水道事業のことを知ってもらう機会の創出が必要と考えます。

具体的な取り組みとして記憶に新しいのは、昨年度に実施されたマンホールサミットがあると思います。振り返りとともに、その他にも具体的な取り組みがあればお聞かせください。

A2 上下水道局では、水道水が自宅に届くまでの過程や下水の処理過程、使用料の使い道など生活に身近な話題を通して上下水道について理解を深めていただくことを目的に「上下水道あれこれ」と題した出前講座を開催している。

また、本市の将来を担う小中学生とその保護者から成る上下水道親子サポーターを対象に、夏休み期間を利用して矢作ダムや矢作川浄化センターの見学会、男川浄水場の見学会及び水に関係する自由研究のサポートイベントを開催するなど、上下水道事業に興味を持っていただくきっかけづくりに継続的に取り組んでいる。

下水道事業100周年であった昨年度は、下水道マンホール蓋新デザイン公募、こどもデザインマンホールの作成、市内全域を巡回したパネルキャラバン等を実施した。

さらに中部地方初開催となったマンホールサミットin岡崎では、全国マンホール蓋展示のほか、下水道関係で働く人に注目した働く顔のフラッグの展示、路上に下水道を描くアートイベント、普段は目に触れることのない、実際に地面に設置されているマンホール本体等の資材の展示、下水道資源を活用して育てた食材を使用したビストロ下水道といったイベントを開催し、多くの方に下水道を知っていただく機会となった。

これらイベント等を通じた普及啓発活動や情報公開を積極的に実施することで、市民の皆さまには下水道事業への理解を深めていただき、「サポーターのような存在」となっていただけるよう努めることで、持続的な事業運営につなげていきたいと考えている。

施設見学のことは知っていましたが、出前講座や自由研究のサポートイベントのことは知りませんでした。

下水道のほとんどは地下に埋設されており、現代においては、下水道があるのがあたりまえの世代が多く、下水道によって公衆衛生が保たれ、我々市民の健康があるということは忘れられているのではないでしょうか。

地道かもしれませんが、こうした一歩前へ出た取り組みの継続が結果につながるものと期待いたします。

マンホールサミットについては、大きなイベントであり大盛況であったのをよく覚えております。

全国から集まったマンホール蓋の展示は圧巻であり、あれ以来、市外・県外に視察等で伺った際、気になってマンホール蓋を撮影してしまうようになりましたので、もしかしたら、私は先ほどの答弁にあった「サポーターのような存在」というものに思惑通りに、まんまとなってしまっているのかと思っております。

そもそも、企業価値とは、その企業に対する期待の量で決まると考えます。より興味を惹くための努力と挑戦の積み重ねが、コアな支持層を増やしていくことにつながり、結果的に企業価値が高まっていくと考えますので、より一層の事業推進を期待いたします。


⑵ 下水処理資源

Q1 企業価値をより高めるためにも、環境施策への取り組みは欠かせません。先ほどの答弁にあった下水道の循環型社会へ寄与する事例として、ビストロ下水道を挙げられましたが、内容についてお聞かせください。

A1 ビストロ下水道とは、下水処理場から出る処理水、汚泥肥料、熱等を下水道資源を活用して育てた食物を「じゅんかん育ち」というネーミングでPRし、食を通して下水道を知ってもらう取り組みである。

下水処理時に発生する汚泥には、植物の生育に必要な窒素やリンが豊富に含まれており、良質な肥料となる。また、うま味成分の元となるアミノ酸も豊富であり、味が良くなる効果があるとも言われている。

本市では、下水道事業の資源循環を市民の方に知っていただくため、マンホールサミットin岡崎でビストロ下水道ブースを設置した。

ブース出展は地元に運営をお願いし、マンホールサミットin岡崎実行委員会(市、GKP)が調達したトマト、豚肉、じゃがいも、玉ねぎを使用し、マンホール型の鉄板を用いて調理したカレー、トルティーヤを始め、じゃがバター計約800食を安価に市民の方に提供した。また、配布したチラシの中で生産者の取り組みなどを紹介し、目と舌で下水道資源の循環を感じていただいた。

今後も、資源循環に下水道が果たす役割について啓発していきたいと考えている。

Q2 環境施策は「やるしかない」という時代です。この下水処理過程での発生物を資源と捉えた循環型の環境施策に強く興味を持ち、実際に山形県鶴岡市の下水処理場へ赴き、汚泥から作るコンポストや栄養価の高い処理水による家畜用の飼料米の栽培やエサとなる藻を育成して天然物に近い鮎を養殖して特産品にするといった取り組みを学ばせていただきました。

現状では、実証実験に近い段階ではありましたが、その取り組む姿勢に感心して、本市においても何か活かすことができないかと情報を持って帰ってきた訳ですが、お伺いします。

本市下水道事業の汚水処理過程で発生する資源を活用した循環型の環境施策を研究されてみてはと考えますが、ご見解をお聞かせください。

A2 本市には、公共下水道事業と10地区の農業集落排水事業がある。

まず、公共下水道事業の汚水は、愛知県の矢作川流域下水道の処理施設で処理されている。処理により発生した汚泥は、汚泥処理施設の濃縮タンクの中で重力によって沈められ濃縮される。濃縮された汚泥は、脱水機で圧力を加え水分を絞った脱水ケーキと呼ばれる粘土状の固形物になる。このうち、一部の脱水ケーキについては、焼却され焼却灰となる。脱水ケーキや焼却灰は、処理場から搬出され、民間企業によって脱水ケーキは肥料原料に、焼却灰はセメント原料等に活用されている。発生した汚泥のほぼ100%が有効活用されていることになるが、ビストロ下水道に関連する肥料原料への活用は、令和4年度実績では、愛知県内の全流域下水道で処理された汚泥全体の10.8%と聞いている。

次に農業集落排水事業では、処理場で発生した汚泥を八帖クリーンセンターへ搬入し、脱水、焼却を行い、さらに中央クリーンセンターで高温焼却し、最終的に溶融スラグとなり建設資材の原料として100%活用していおり、資源循環型社会の構築に取り組んでいる。ビストロ下水道に関連する肥料原料としての活用は行っていない。

他自治体の農業集落排水事業では、汚泥を肥料原料に再資源化し活用している団体もあることから、本市としても、資源循環型社会の構築に寄与する汚泥のビストロ下水道への活用等を視野に入れつつ、他自治体の取組事例を注視しながら研究していく。

本市の流域下水処理の状況から考えると、市内10地区にある農業集落排水施設において、独自の循環型の環境施策が研究され、新たな可能性が生まれてくれることを強く期待したいものです。

そして、それが将来の下水道サポーターの増加につながり、企業価値の向上にもつながっていくのではないかと期待をして次の大項目へ移らせていただきます。

災害時の避難について


⑴ マイ・タイムラインの普及

Q1 本市には矢作川をはじめいくつかの河川が流れており、近年ではゲリラ豪雨の発生件数も増加傾向であり、これからの水害発生頻度が高まる時期に向けて、市民の防災意識の向上の為にもマイ・タイムラインの取り組みが重要と考えます。

マイ・タイムラインは、平成27年9月の関東・東北豪雨における避難の遅れや避難者の孤立の発生を受けて、個人や家族単位で水(みず)防災(ぼうさい)に関する知識と心構えを共有し、事前計画の充実を促すツールとして開発されたものであるが、先ずは、ご存知ない市民の皆さんにも知っていただくためにも、改めてマイ・タイムラインはどのように作成するものか、お聞かせください。

A1 マイ・タイムラインの作成は、自分の住む区域の水害リスクを「知る」ことから始まります。岡崎市水害対応ガイドブックや洪水ハザードマップ等により、自宅近辺の浸水深を知り、いざという時、自宅にとどまることができるのか、できないかを判断します。

次に、自宅にとどまることが危険である方は、いざという時にどう行動するかを決めておきます。避難先としては、市の指定避難所のほか、安全な親戚や知人宅への避難や、高台を目指して車中泊避難するなどを家族などで話しあい、あらかじめ選定しておくことが重要です。

そして、いつ、どのような情報の入手により、それを実行するか、決めておく必要があります。河川の近傍にお住いの方では、河川水位により避難のタイミングを決めたり、低地にお住まいの方では、路上浸水警報装置の発報であったり、また、体の不自由な家族がおみえの場合は、避難のタイミングが早くなったりするため、マイ・タイムラインの答えはさまざまになります。

Q2 これまでのマイ・タイムラインに対する本市の取り組みはどのようなものであったか、お聞かせください。

A2 これまでのマイ・タイムラインに対する取組みとしては、水害対応ガイドブックやホームページ、市政だよりの特集へマイ・タイムラインの重要性を伝える情報や作成の手引きを掲載するほか、YouTubeへの動画投稿、出前講座の開催などを通じて、作成を促す啓発を行っています。

Q3 取り組みは理解しますが、実際の作成状況は把握されているのか、お聞かせください。

A3 現在のところ、マイ・タイムラインの作成状況を把握するには至っておりません。

Q4 地域におけるマイ・タイムライン作成の推進を加速させるべく取り組みが必要であり、地域における推進役の育成とマイ・タイムラインの作成を目的とした講習会や作成会の実施支援といった実動に向けた取り組みを検討されてはどうかと考えますが、ご見解をお聞かせください。

A4 これまでのマイ・タイムラインに対する取組みは、ホームページへ掲載する手引きには、作成手順、作成例、様式をお示していますが、取組みの中心が作成を促す啓発でありました。

市民一人ひとりに、実際にマイ・タイムラインを作成していただくために、職員が地域へ赴き、直接に作成を支援することには限界があるため、議員のご指摘のとおり、市民が自らマイ・タイムラインを作成できるようにする取組みとして、地域における推進役を育成し、マイ・タイムラインの作成を目的とした講習会や作成会を地域独自に実施できるよう、その実施を支援することは、大変有効なことと感じております。

Q5 動画による広報や啓発は効果的であると考えます。

岡崎市公式のYouTube動画の「矢作川避難計画を知ろう」にてマイ・タイムラインが紹介されていました。しかし、作成にあたっての手引き的なものではありませんでした。

今後、広くマイ・タイムラインの作成を推進していくことや、地域の推進役による作成会の時にも使えるような手引き的な動画作成を検討されてはと考えますが、ご見解をお聞かせください。

A5 大変貴重なご提案をありがとうございます。

これまで、職員が地域へ赴き、説明会を開催するほか、出前講座で、マイ・タイムラインをご紹介してきました。説明会などの参加者から、マイ・タイムラインの重要性と、市民一人ひとりが作成する必要性は理解できるものの、自分だけでマイ・タイムラインを作成することや、地域だけで作成を支援することには難しさを感じるといったご意見をいただくことがあります。その理由としては、地域によって水害リスクが異なるだけではなく、自宅の構造や階数、さらに家族構成や、それぞれが抱える事情などに応じて、災害の危険性が高まった際に必要となる避難行動が異なるからでありますが、その多くは水害対応ガイドブックを活用することで解決できます。

動画は、マイ・タイムライン作成の手順を細かく示しながら進行でき、水害対応ガイドブックの活用方法を実演を通じて伝えることが可能であるため、マイ・タイムラインと水害対応ガイドブックに対する理解を深め、実際にマイ・タイムラインを作成する行動を促すことが期待できるため、動画作成いついて検討したいと思います。

Q6 岡崎市公式YouTube動画「矢作川避難計画を知ろう」のパート1からパート3まで見せていただきました。令和3年に他の自治体に先んじて矢作川に特化した避難計画の策定及び逃げ遅れを無くしたいという想いでタイムラインの啓発をされたと認識しております。

現在、策定から3年が経過し、他の自治体においても同様の想定における避難計画が策定されていると考えます。時間の経過と共に状況も変化しているはずですが、本計画の見直しについて検討なされてはいかがかと考えますが、ご見解をお聞かせください。

A6 矢作川避難計画は、国土交通省が公表した矢作川の想定最大規模の浸水想定区域により影響を受けることが判明した約20万人の市民の避難について、令和3年6月に計画を策定しました。

この計画を公表したことの成果としては、矢作川が氾濫した場合に被害が及ぶ範囲の皆さまに対し、早めの避難が必要であることを周知できたことや、避難を自分事として考えるきっかけになったことが挙げられます。

一方、課題としては、浸水が想定される深さに応じて順次、学区ごとに非難を呼びかける計画となっていることの有効性が指摘されます。「マイ・タイムライン」における避難を開始すべきタイミングは、家族構成や避難先、また、日頃からの避難準備の状況などにより異なり、学区単位での呼びかけには、見直しが必要と考えています。

また、この計画では「矢作川早期避難情報」という特殊な避難情報の発令を計画しておりますが、「高齢者等避難」や「避難指示」という避難情報に比べて認知度が低く、実際の避難行動に結びつけることができるかという課題もあります。本市が計画の策定を進めていることと同時期に、国においても災害対策基本法の見直しやガイドラインの見直しが進められており、その後、他自治体においても計画の策定や見直しが進んでいます。

本市の矢作川避難計画につきましても、最新の知見に基づき計画の変更が必要な時期にきていると認識しており、有識者の見解を聴取し、必要な見直しを進めてまいります。


⑵ 防災備蓄

Q1 災害時の避難において分散避難が重要視されていることから、避難所としての役割を有する場所や備蓄できる場所を増やしていくことが必要だと考えます。

先ず、指定避難所の状況ですが、「岡崎市防災ポータル」から指定緊急避難場所と指定避難所が記載された一覧表が確認できます。

市内の小中学校は、指定されているものの、県立高校については指定緊急避難場所となっていますが、指定避難所にはなっていません。

地域によっては、県立高校を避難先としていることが考えられますが、ご見解をお聞かせください。また、県立高校の防災備蓄の状況についてもお聞かせください。

A1 分散避難に対応するためにも、指定避難所の指定を進める必要があるものと考えており、県立高校は、ご協力がいただけるのであれば、有力な候補であると考えています。

防災備蓄の状況ですが、本市において、防災倉庫は指定避難所を中心に設置していることから、指定緊急避難場所である市内の7つの県立高等学校には防災倉庫は設置していません。

しかし、市内県立高等学校は指定避難所に指定していませんが、震度6弱以上の地震が発生した場合などでは、一時的な避難場所として屋外運動場等を使用することを協定に基づき定めていることから、毛布などに限定した物資ではありますが、体育館の倉庫などをお借りし、保管させていただいる状況でございます。

Q2 愛知県から市町村に、県立学校を指定避難所へ指定する意向の確認とともに、県教育委員会から各県立学校長あてに、市町村から避難所指定の依頼があった場合、積極的に協力するよう依頼する文書が発出されているとも聞きます。

地域住民との調整もふまえて実現に向けての第一歩として指定緊急避難場所だけでなく、指定避難所としても指定されることを望むものであるが、ご見解をお聞かせください。

A2 能登半島地震における避難所の状況を見ますと、避難所での適切なスペース確保は、被災者の生活環境と健康を守るためには重要であると、改めて強く感じているところでございます。そのため、本市としましては、県立高等学校を指定避難所に指定したい旨を愛知県に回答したところでございます。

Q3 この話は県立高校付近の地域の地区防災計画にも影響するとともに、地域防災力の向上に繋がる大切な取り組みと考えます。指定変更がなされた時には防災備蓄がなされるようになるのか、ご見解をお聞かせください。

A3 県立高等学校を指定避難所に指定した際は、備蓄品の充実を図る必要があるものと考えております。そのためには、保管場所を確保することが必要になってまいりますが、防災倉庫の設置には、多額の費用が必要となることから、指定後、直ちに設置していくことは、困難であると考えております。現状、体育館の倉庫に毛布を備蓄させていただいているように、空き教室などを場所として提供いただくことが可能であれば、その分、防災備蓄の充実を図ることができるため、今後の調整が必要であると考えております。


⑶ 車中泊避難

Q1 最後は車中泊避難についてお伺いします。

避難は決して施設の中ということではなく、避難所自体が快適に過ごせるということでもないと考えており、決して推奨されるものではないが車中泊避難を選択する人は少なくないと考えます。

「岡崎市防災ポータル」からは2022年にあいち・なごや強靭化共創センターが発行された「災害時車中泊避難ガイド」を閲覧することができます。

現状において、車中泊避難に関しては個人それぞれが車中泊避難できそうな場所を予め決めておいてというスタンスだと認識しました。

しかし、どこでもいいとなると様々なトラブルも起きてしまうのではないかと心配します。これまでの全国で発生した災害に対して、支援等で現地を見てこられた経験もふまえて、本市の防災計画としてはどのように考えているのか、また、地域の地区防災計画や体験会等において、どのような指導をされているのか、ご見解をお聞かせいただいて、通算22回目となる一般質問を終わらせていただきます。

A1 近年、新型コロナウイルス感染症拡大を受けて分散避難の取組みが進むとともに、様々な事情により、避難所への避難ではなく、在宅や車中泊で避難生活を送る避難者等が存在しました。

現在、国の有識者検討会において、このような避難生活を取り巻く状況が大きく変化している中で、これらの環境変化に対応した支援の実施方策について検討されており、検討内容の取りまとめ案には、車中泊避難を行うためのスペースを事前に公表することなどが盛り込まれています。

本市の地域防災計画には、車中泊避難場所の確保などは記載していますが、その内容は限定的であるため、今後、国から示されるガイドラインなどに基づき、適切に対応してまいります。

また、これまでの車中泊避難に関する取組みとしては、民間事業者にご協力いただき防災イベントを開催し、車中泊避難を行う上での注意事項などをお伝えする啓発を実施して参りました。

今年度は、さらに、まちづくり活動を行う団体と協力して、実際に車の中で宿泊体験を行う車中泊避難訓練を計画しております。このような訓練を通じて、自主防災組織による車中泊避難者の把握方法などについて検討して参りたいと考えております。

令和5年 12月定例会

聴覚障がい者のコミュニケーション支援について


聴覚障がい者のコミュニケーション支援についてについてお伺いします。「障がい者総合支援法」および本市には「岡崎市手と心でつなぐ手話言語条例」が制定されており、その基本理念から地域における共生社会の実現を目指すとあります。

そこから、聴こえない人達の日常生活において必要不可欠と考えられる手話通訳者・要約筆記者の派遣事業についてお伺いします。


手話通訳者・要約筆記者の派遣事業


(ア)概 要

Q1、聴覚障がい者や言語機能障がい者等と、その他の者との意思疎通を支援する「手話通訳者及び要約筆記者等派遣事業」について、事業の概要をお聞かせください。

A1、障がい者や障がい児が障がいの有無に関わらず安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とした、障害者総合支援法で定められた「地域生活支援事業」の枠組みの中に、市町村の必須事業として「意思疎通支援事業」が含まれております。

この「意思疎通支援事業」において、意思疎通を図ることに支障がある障がい者等とその他の者の意思疎通を支援する目的として、手話通訳者や要約筆記者を派遣する事業を行っております。

岡崎市では、地域の密着性、福祉サービスの連携、専門的な知識を有している事から、岡崎市社会福祉協議会へ業務委託しており、ろう者が学校行事や通院等で手話通訳や要約筆記者が必要な場合に、岡崎市社会福祉協議会へ派遣申請をすることで、事前登録された手話通訳者等を派遣し、聴覚障がい者等の円滑なコミュニケーションをサポートしております。

障害者総合支援法から市民生活に最も近い基礎自治体の必須事業とした「意思疎通支援事業」であるという根拠をはじめ、聴覚障がい者等の皆さんの日常生活において重要なサポート事業であることが理解できました。


(イ)利用状況や実績

Q1、派遣実績数の直近3年程度の推移をお聞かせください。また、利用状況の内訳等も併せてお聞かせください。

A1、令和2年度から令和4年度の手話通訳の派遣実績ですが、合計派遣件数はそれぞれ542件、619件、856件と右肩上がりに推移しております。

また、令和4年度の手話通訳派遣の内訳は、診察等の「病院・健康」に関する派遣が366件と一番多く、次いで授業参観や懇談会等の「学校・教育」に関する派遣が187件、警察署や税務署等の「公的機関」に関する派遣が149件となっております。

また、要約筆記者の派遣実績ですが、令和2年度から令和4年度の派遣件数は16件、12件、45件であり、令和4年度に急激に増加しておりますが一番大きな要因として、コロナウイルス感染症の影響がなかった令和元年度の派遣件数が55件ということから、コロナウイルス感染症による外出控えの解消が一番大きな要因として考えられます。

なお、令和4年度の件数内訳としては、市や市内福祉関係団体が主催する行事や会議に関連する派遣が一番多くなっております。

Q2、先ほど概要のところでご答弁があった、事前登録されている手話通訳者や要約筆記者ですが、登録人数と直近3年程度の推移をお聞かせください。

A2、手話通訳者の登録者数ですが、令和2年度は14人、令和3年度と4年度は1人減の13人で、令和5年度は新規で1人登録があり、現在は14人の手話通訳者が登録しており、概ね横ばいで推移しております。

続いて、要約筆記者の登録者数ですが、令和2年度は17人、令和3年度は14人、令和4年度から現在までは12人の要約筆記者が登録しております。要約筆記者の登録者においては、減少傾向となっております。

Q3、派遣件数と比較して、対応する手話通訳者の登録数が少なく、事業実施について厳しい状況が想像されますが、現状についてお聞かせください。

A3、手話通訳派遣においては、派遣件数に比べて登録者数が少なく、派遣件数の増加や学校行事等については日程が重なることもあるため、岡崎市の登録者で対応できない場合がありますが、その際は、愛知県聴覚障害者協会へ依頼し、対応しております。

直近では派遣件数が大きく増加していることもあり、愛知県聴覚障害者協会へ依頼する回数についても増加しております。


(ウ)現状の課題と今後の対策

Q1、派遣件数が増加し、本市の登録者で対応できない場合があるとのことですが、増加件数に伴う課題、またその他の課題があればお聞かせください。

A1、手話派遣件数の近年の傾向では、新型コロナウイルス感染の影響が出始めた令和2年度に派遣件数が前年比の8割程度へ減少を底辺として、そこから令和3年度以降は、毎年約3割程度増加しております。

増加の要因はコロナウイルス感染症の影響による外出控えの解消もありますが、それに加えて、障害者差別解消法やアクセシビリティに関する法律、また「岡崎市手と心でつなぐ手話言語条例」の施行等により、社会全体で障がい者に対する理解や意識が向上しており、手話通訳者派遣の増加につながっていると思われます。

しかし、手話通訳者派遣件数は増加していますが、手話通訳者は岡崎市に限らず全国的に不足しており、手話通訳者の養成が課題となっております。

また、この事業を行う上で、申請者等から詳細な状況を事前調整することで派遣先の対応精度を高めることができますが、その調整役を担うコーディネーターとなり得る手話通訳者も不足しており、手話通訳者のコーディネーターが配置できておりません。その為、ろう者からの情報を手話により受け付けることは容易でなく、事前調整についても大変苦慮しております。

障がい者のアクセシビリティに対する法律や条例の施行を背景に、社会全体の理解や関心が広がっているのは感じるところでございます。

本市においても先月からコミュニケーション条例制定に向けたパブリックコメントの募集が行われています。どのような意見があるか興味深いところでございます。

また、手話通訳者の不足が原因で本派遣事業における重要な事前調整を担うコーディネーターに手話通訳者が配置できていないということでした。

利用者の不満の声が届いていることと察します。そんな中でも、現在、コーディネーターとして頑張ってくれている方には感謝をするものであります。本事業の特性や専門性を考慮してもコーディネーターという役割は難しいものと考えます。お伺いします。

Q2、本事業におけるコーディネーターの具体的なオペレーションや重要性についてご教示ください。

A2、事前調整を担うコーディネーターは、依頼を受けた手話通訳サービスを円滑で効果的に提供するために、適人と思われる手話通訳者の選定と手配、イベントや会議等のスケジューリング、通訳者と利用者及び主催者と繋ぐために連絡を図るなど、通訳者と利用者の双方が円滑なコミュニケーションを図るための重要な役割を担っております。

Q3、今後の「手話通訳者・要約筆記者等派遣事業」の課題や対策についてお聞かせください。

A3、手話通訳者及び要約筆記者等派遣事業に手話通訳者を配置することが重要と認識しておりますが、根本的に手話通訳者が不足しているため、(全国的に手話通訳者が不足する中で困難ですが)新たな登録者を確保するためにも、通訳者の養成を強化していくことが必要です。

岡崎市では、手話通訳者や要約筆記者等を養成する事業も行っておりますが、両事業を効果的に連携させることにより、手話通訳者の質の向上と需要に即した効果的な人材供給を目指していきたいと思います。

Q4、手話通訳者不足が課題ということは理解できます。通訳者の養成も一朝一夕で出来るものではありません。そもそも、手話通訳者を目指そうという人がいなければ始まりません。

先日、地元の防災イベントにて、飲料を配布するブースに聴こえない人に注文を受けてもらう役を受けていただきました。様々な種類の飲料が用意される中で、手話も知らず、聴こえない人とも初めて対峙して、子どもも大人も困惑しながらも身振り手振りで懸命に伝えている姿、それを受け止め頷き理解しようとする聴こえない人の姿、伝わった時の双方の笑顔がとても印象的なものでした。

こうした次世代が手話に触れる機会を作っていくことが底上げをしていく重要なことと考えますが、ご見解をお聞かせください。

A4、まずは手話通訳者を増やすために、広く一般の方々に手話に触れる機会を増やすことが重要と考えます。

手話に親しむ機会が増えることで、多くの人が言語である「手話」に対する理解を深めることで、手話通訳者の需要と必要性を認識することが期待されます。また、手話に対する理解が広がることで手話通訳者を志す人も増え、より包括的でアクセス可能な社会の構築に寄与することができると考えております。

本市は令和4年度に「岡崎市手と心でつなぐ手話言語条例」を施行していることから、昨年度より職員の手話研修を実施し、当年度においては手話について理解を深めるための手話言語理解促進講演会を開催しております。今後も、この条例の理念をもとに、今後も障がい者施策の推進に取り組んでまいります。

手話について理解を深めるための手話言語理解促進講演会には私も参加させていただきました。

手話言語条例に則った初めての催しということで、理念の提唱だけにとどまらない姿に期待感が持てます。

これまでの質疑で、この「手話通訳者・要約筆記者等派遣事業」の法的根拠や聴こえない人の日常生活において重要な事業であることを認識すると同時に、需要と供給のバランスに偏りがありながらも、現状における最大の努力をされていることも理解できました。

しかし、事業を展開する中で結果は重要であり、利用者の満足度はどうしても外せません。今後の更なる利用者満足度の向上を目指し、本市行政の福祉部門と岡崎市社会福祉協議会の連携によって、より良い事業となることを期待しております。

また、手話通訳者不足は事業展開の先細りを心配するものであります。これは聴こえない人達にとっても大きな課題と言えます。

現在ではデジタルツールによる音声認識による文字おこしの精度も高くなっています。しかし、手話を文字に変えるツールはまだまだ発展途上であります。

持続可能な事業となるような体制づくりを構築するために何が必要なのか、支援する側もされる側も一緒に検討しなくてはならいということ、また、手話通訳者の社会的地位向上を目指すことも必要であると、私から僭越ながら提言させていただき、次の質問に移ります。

令和4年 12月定例会

本市ゆかりの画家「村山槐多」について


【質問1】

現在、岡崎市美術館において岡崎市が生んだ天才画家の村山槐多の作品が展示されていますが、まずはその展示作品について詳細をお聞かせください。


【答弁1】

岡崎市美術館では、村山槐多の貴重な油彩画5点を、毎月1点ずつ3月末までの5ヶ月間にわたり展示する連続企画を開催しています。

この5点の油彩画は、3年前に本市で開催された「没後100年 村山槐多展 」で新発見作品として発表され、全国でも話題となった作品です。

所蔵家の方から「槐多の故郷の岡崎市民の皆さんに、槐多芸術の素晴らしさを身近に観て欲しい」とのご好意をいただき、特別に連続展示させていただけることになりました。その他、岡崎市が所蔵する作品をはじめ、初期から晩年にいたるまでの代表的な絵画や詩などの資料を複製し、創作活動の軌跡がわかるように展示をしています。


【質問2】

全国的にも話題となった3年前の企画展は僕も観させていただきました。

インパクトある力強い作品や柔らかで繊細なラインの作品が対照的であり、印象に残っております。

所蔵家の方からもご協力をいただいての特別展示ということですので、多くの市民の皆さんにも観ていただけることを期待するものであります。

それでは、全国のみならず世界にも作品が出ていると認識している槐多作品ですが、本市が所蔵する村山槐多作品についてお聞かせください。

また、購入金額についてもお聞かせください。


【答弁2】

現在岡崎市では、村山槐多の作品資料を17点所蔵しております。

そのうち、4点が寄託作品で、購入作品は計13点。購入金額は総額で、61,077,000円でございます。


【質問3】

それなりの予算をかけて作品の所蔵もされていることがわかりました。

それでは、市外でも展覧会が開催されているようですが、本市における村山槐多にまつわる過去の展覧会や企画等の実績をお聞かせください。


【答弁3】

これまでの村山槐多の主な展覧会は、1982年に神奈川県立近代美術館で開催された「村山槐多のすべて展」、1997年に三重県立美術館、福島県立美術館で開催された「生誕100年 村山槐多展」があります。

本市での開催は、2011年に「村山槐多の全貌展」を岡崎市美術博物館で開催し、44日間で全国から8,683名の来館がありました。また、2019年には、おかざき世界子ども美術博物館で「没後100年 村山槐多展」を開催し、39日間で9,426名の方にご来館をいただきました。

この「没後100年 村山槐多展」には、北海道から九州まで、全国から来館されており、開催時に行ったアンケートによると、「絵にも詩にも感動しました。」や「圧倒された。とにかく絵が好きだという気持ちが伝わってきた。また開催して欲しい。」など、多くの方から感動の声が寄せられています。


【質問4】

お聞かせいただいた入場者数からみても、全国からの本市への来訪者を増やすマグネット効果があるように感じます。

近代美術における本市の代表的な存在であり、所蔵する作品もあるという事が分かりました。現状では、常設展示が設置されていないと思います。岡崎の文化振興や市外からの美術愛好者の来訪者を増やすという観点から常設展示を検討してみてはどうかと考えますがいかがでしょうか。


【答弁4】

村山槐多が岡崎生まれであることが確認されたのも10年ほど前のことで、それ以来、皆さんに知っていただけるよう取り組んでいます。

昨年からは、美術館での展示の中で、村山槐多の短くも情熱的に生きた22年の生涯が市民の皆様にご覧いただけるような複製作品による展示をしています。

村山槐多は、没後100年経った今日でも、美術のみでなく、文学の世界でも高い評価を得続けている国内でも屈指の詩人画家といえます。

まずは、岡崎の文化財産として、今後、市民の皆様に、より親しんでいただき、広く発信していきたいと考えております。


【意 見】

是非ともさらに多くの市民の皆さんに知っていただけるようにご尽力いただきたいものでございます。

地元ゆかりのアーティストを大事にする姿は、まさに文化のまち岡崎を体現するものであり、アートを志す後進の励みにもなるのではないでしょうか。

せきれいホールの敷地内にある旧額田郡公会堂に村山槐多が立ち寄ったという記録が残っているということです。

国の重要文化財であります。耐震補強について意見が分かれるかもしれませんが、ユニークベニューの観点から、整備をするとともに、ゆかりある偉人を想い、槐多作品を常設する記念館にするというのも面白いことかと、ご提案申し上げ、次の項目へ移らせていただきます。

令和4年 9月定例会

消防団車両の緊急走行について


(1)現状


私は、平成16年4月より岡崎消防団の団員として消火活動や風水害等に出動し、地域に密着した消防団活動に勤めて参りました。

消防団員としての任務として、主に消防団車両の運転やポンプ操作を行ういわゆる機関員を任されることが多くありました。

本年7月、消防団の研修行事のひとつである安全運転実技研修に参加させていただきました。

研修の内容としては、施設内の定められたコースにおいて緊急走行体験の他、車両感覚訓練ならびに車両誘導要領を学ばせていただき、大変に実のある訓練であったと実感しております。

その際の研修の中で教官から、緊急走行時に助手席に同乗した人は、交差点に進入する際や一般車両に道を譲ってもらう場合など、様々な場面での安全に配慮するための広報活動を実施するように指示がありました。

車両に搭載されたマイクにて、交差点に進入する際の一般車両の停止や追い越しする際の停止を促すなど、サイレンを吹鳴させながらの訓練であり、緊急自動車の法令上の特例を思い出しつつ、機関員とは違った視点での訓練を体感することができましたと感謝を申し上げるとともに、今後も本研修が引き続き開催されることの期待を込めて、いくつかの質問をさせていただきます。


【質問1】

先ずは、今回、受講させていただいた消防団の安全運転実技研修の目的をどのように考えているのか?また、いつから実施されているのか?お聞かせください。


【答弁1】

この研修の目的については、消防団員の皆さんに緊急出動時における安全運転の重要性を理解していただくため、実際に起こりうる危険状況を仮定した走行体験及びサイレンを鳴らしての走行を体験することを目的にしております。開催につきましては、平成19年度から実施しております。


 受講した者の感覚としては、お答えいただいた目的については十分に達成されているものと考えます。また、平成19年度から実施しているということですが、僕としては平成16年度から団員をしているにも関わらす本研修を受けたのが初めてということですから、もしかしたら、まだ受講していない団員も多くいらっしゃるのではないかと考えます。


【質問2】

それでは、緊急自動車についてお伺いいたします。消防本部の緊急自動車と消防団の緊急自動車の要件について、何か違いがありますでしょうか?お聞かせください。


【答弁2】

緊急自動車の要件といたしましては、「消防自動車、救急自動車その他の政令で定める自動車で当該緊急用務のため、政令で定めるところにより、運転中のものをいう。」と道路交通法で定義されており、消防本部と消防団による区別はございません。

また、その他の定義といたしまして、緊急自動車の要件や保安基準もございますが、いずれも消防本部の車両と消防団の車両を区別することは含まれておりません。


消防本部と消防団の緊急自動車の区別がないことを確認させていただきました。

また、緊急自動車に装備されているサイレンや赤色灯なども同様の基準になっていると理解いたしました。


【質問3】

それでは、消防職員の皆さんにおかれましても、同様の安全運転実技研修を行っているのでしょうか?お聞かせください。


【答弁3】

消防職員につきましても、安全運転実技研修を実施しております。

また、消防本部では機能性を備えた消防二輪車を保有しておりますので、消防二輪車実技研修も実施しております。


消防職員の皆さんも同様の研修を行っていることが分かりました。


【質問4】

それでは、この安全運転実技研修を受講することによって、緊急自動車の機関員として運用されるのか?お聞かせください。


【答弁4】

消防本部の機関員としては、安全運転実技研修とは別に、所属長による機関員従事者認定を実施しております。

機関員として従事中の職員及び機関員を希望する職員の運転技術並びにその資質の向上を目指し、必要な知識、技術の測定を行い、安全かつ確実な業務を遂行できると認定した者を機関員として緊急走行を可能としております。


消防本部においては、機関員従事者の認定を行い、安全で確実な業務を行っていることを理解いたしました。

それでは、緊急走行時の広報活動についてお伺いして参ります。


(2)緊急走行時の広報活動


【質問5】

緊急自動車については、右側通行の特例や停止義務免除などの法令上の特例があると思いますが、緊急走行時はどのような広報活動をされているのか?

また、マニュアルやガイドラインなどを作成しているのか?お聞かせください。


【答弁5】

緊急走行時の広報活動についてのマニュアルやガイドラインはございませんが、現場活動要綱の小隊の初動活動に出動途上の行動要領を示しております。

緊急走行時の広報活動の方法としては、助手席の隊員は、車載マイクを使用し、周囲の通行車両等に注意を促し、必要であれば、退避していただくことを、呼びかけるなど、緊急自動車の安全走行の維持には、同乗者全員が走行中の安全確認、機関員の補助、車両誘導等を行うと示し、対応させていただいております。


現状では、緊急走行時の広報活動に特化したマニュアルやガイドラインは無いが、広報活動における取り組みがなされているということは理解いたしました。

消防団員といたしましては、消防職員の皆さんと比較して緊急出動の回数は非常に少なく、経験値も低く、瞬時に緊急自動車の法令上の特例を理解し、車載マイクを使用しての広報活動は容易ではないと考えられます。

正直申し上げると、それなりに長い期間、消防団員をしている僕でも、研修の際にどうしてよいのか困惑いたしました。経験の少ない消防団員であれば尚更ではないかと考えられます。そこでお伺いします。

 

【質問6】

現状において、消防団員の緊急出動における車載マイク使用の不慣れにおいて、何らかの対策はあるでしょうか?お聞かせください。


【答弁6】

議員のご指摘の通り、緊急走行時の広報活動につきましては、経験値に左右されるところがあること、また緊急走行時の法令上の特例と現状の交通状況を把握し、言葉により一般車両に指示を促すことは、消防本部としても課題と考えております。

対策といたしまして、近年では、赤色灯や車載マイクを一体化した電子サイレンアンプに音声合成装置の機能が含まれているため、緊急走行時には、ボタン操作により交差点進入時に注意を促す音声が流れるなどの対応が可能となっております。


確かに研修の際にも、ほとんどの車両が団員による車載マイクでの広報活動に苦戦する中で、録音された音声で走行する車両があったのを記憶しております。

全ての消防団の車両がそうなるといいとは思いますが、車両の多さや更新時期等を考えますと、そうはいかないものと推察いたします。

また、緊急走行の安全につきましては、消防業務の任務達成を可能とするための大前提でありますので、今後も資機材の更新や多方面からの情報をいただけたらと思います。

それでは、これまでの実際の緊急走行時についてお伺いいたします。

研修の際にも経験しましたが、意外と密閉された車両の中ではサイレンの音は聞こえてくるのですが、広報の声は聞こえにくいということであり、実際の緊急走行時にも同様の現象がおきていると考えます。そこでお伺いします。


【質問7】

緊急走行時における事故事例やヒヤリハット事例等をお聞かせください?


【答弁7】

緊急走行時における事故事例については、過去には狭隘道路から、広い道路に出る際に、一般車両と接触したといった事例がございました。また、緊急走行時におけるヒヤリハット事例については、定期的に報告があり、広く職員に周知するために、消防職員安全運転講習会において、ドライブレコーダーの映像などを使用し、緊急自動車の走行について再認識させるとともに、検証を行っております。

検証結果の1例になりますが、赤信号などにおける交差点進入要領について、法令上の特例はあるものの、交差点の直前で必ず一旦停止し、左右の安全が確認できる位置まで徐行し、再度一旦停止するといった二段階停止を徹底させることとともに、さらなる緊急走行時の広報活動が必要と考えております。

 

消防団車両にも、ドライブレコーダーが配備されていますので、ぜひ消防団の緊急走行についても、検証をしていただきたいと思います。

交差点における二段階停止につきましても、運輸事業所等でも取り上げられており、緊急自動車についても、優先通行権はあくまでも安全走行を条件としたものであり、そういった検証結果につきましても、ぜひ消防団員に伝えていただきたいと考えます。

いざ出動となり、赤色灯を点灯してサイレンを鳴らすと非常に感情が高ぶってしまう団員は少なくないと思います。

また、冒頭に確認させていただきましたが、消防本部と消防団の緊急自動車は法令上、違いは無いということでした。

結びにお伺いします。


(3)教育の必要性


【質問8】

広報活動要領を含めた緊急走行の教育につきましても、消防職員と消防団員で違いのない取り組みをしていただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。


【答弁8】

消防団員の皆さんには、緊急走行時だけではなく、消防活動上においても、事故の発生がないよう細心の注意を払っていただいているところでありますが、機関員だけではなく、乗車する全ての人に教育や検証結果をお伝えする必要性を感じております。

現行で行っている研修や教育の中でブラッシュアップを図り、広報活動要領など最新の情報を取り入れた内容にするよう前向きに検討していきます。


ご検討いただくこと、大きくご期待を申し上げます。

数多くの特例がある緊急自動車の安全運転義務は一般の車両よりも高くなると考えられます。

音声合成装置等、いろいろな装備を更新していただいているところではありますが、最も重要なのは、緊急走行に関する教育であり、消防団員のスキルアップを図ることと存じます。

それこそが地域住民の生命や身体および財産を守ることに直結すると考えております。

私も、消防団員として新入団員や機関員の教育は、これまでも行って参りましたが、今回の安全運転実技研修で学んだ技術につきましても、積極的に伝え、教育を通じて地域防災力の充実強化に努めて参ります。

令和4年 6月定例会

障がい者による情報の取得及び意思疎通について

 

 平成30年の12月定例会の一般質問にて、手話言語条例制定の推進に向けた質問をさせていただきました。

それから本年4月、本市では市長の強い推進によって「岡崎市手と心でつなぐ手話言語条例」が施行されたと理解しております。

 この条例に関しては、これまで手話が言語として認められてこなかったことや、使用を制限されてきた苦しい時代があり、聴覚障がい者にとって多くの不便や不安を感じて生活してきたという背景から、改めて手話は言語であるということを認め、広くその存在を周知し、理解の促進と手話の使用しやすい環境整備を地域社会に進めていくものと理解しております。

 一方、聴覚障がい者の中には手話を用いない人たちもいて、障がいの種類や程度のみならず、聴覚障がいが生じた時期や教育歴などによって、個別に異なるということも確認されており、手話のみでなく、もうひと周り広げ、円滑なコミュニケーションが可能な体制づくりを目指すべきと考えおり、いくつか質問をさせていただきます。


【質問1】

 まずは、先ほどもお伝えしましたが、聴覚障がい者の中には手話を用いない人がいます。そこで、手話を主な意思疎通の手段としている人の割合はどのくらいと捉えているかお聞かせいただきたいと思います。

 また、手話以外の意思疎通の手段の状況もわかるようでしたら、お聞かせください?


【答弁1】

 厚生労働省が実施した「平成28年生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査)」の調査項目の中の「聴覚障害者の日常的なコミュニケーション手段」によると、65歳未満の聴覚障がい者の 25.0%、65歳以上の4.3%が手話・手話通訳をコミュニケーション手段としていると回答しています。

 また、手話以外の意思疎通の手段につきましては、同調査によると、65歳未満の聴覚障がい者の主な手段として、補聴器が25%、筆談・要約筆記が22.9%、スマートフォン・タブレット端末が20.8%、ファックスが14.6%となっています。

 一方、65歳以上の聴覚障がい者では、補聴器が20.2%、筆談・要約筆記が9%、スマートフォン・タブレット端末が0.5%、ファックスが5.9%となっています。

 65歳以上の方による手話の使用率が4.3%と意外と少ないという印象を持たれた方もあると思いますが、察するに冒頭に述べた制限された時代背景があるのかと考えます。

 また、65歳未満になるとスマホやタブレットのICT機器の利用が目立つことも時代かと思います。いずれにしても多様な意思疎通手段が用いられていることが分かりました。


【質問2】

 そもそも、愛知県では平成28年に『手話言語の普及及び障害の特性に応じたコミュニケーション手段の利用の促進に関する条例』が制定されていますが、それ以降も岡崎市を含め県内の市町村において手話言語条例などが制定されている状況があります。

 やはり、当事者は、市町村において条例が制定されることを期待しているものと考えますが、県で条例が制定されることと、市町村で条例が制定されることの違いについて、ご見解をお聞かせください?


【答弁2】

 愛知県で条例が制定された翌年の平成29年に、当事者団体から市に対して提出された要望書には、「県での条例制定を契機として県内の市でも条例制定の機運が高まっている状況であるため、岡崎市としても検討に入る必要があり、手話関係者との意見交換をしてほしい」という内容がありました。

 県のみならず、一番身近な自治体である市に条例が制定されることで、市内当事者に寄り添った具体的な施策の展開や普及啓発の進展がより強固なものになるとの期待の表れと捉え、市としても制定することに意義があると考えた結果、「岡崎市手と心でつなぐ手話言語条例」の制定に至りました。

 

 身近な自治体が取り組むという姿勢は強い期待に繋がるというのは、おっしゃる通りと考えます。


【質問3】

 昨年、市内の難聴および中途失聴の当事者から聴覚障がい者の情報取得や意思疎通、すなわち円滑なコミュニケーション施策の展開を望む「コミュニケーション条例」の制定に関し要望があったと思いますが、私も同席させていただきましたが、確認の意味を含め、内容やご見解をお聞かせください?


【答弁3】

 昨年の10月、市内の難聴・中途失聴者の当事者団体から、手話言語条例とコミュニケーション支援条例を同時に策定するよう要望がありました。

 内容につきましては、聴覚障がい者が使用するコミュニケーション手段は、手話・要約筆記・音声認識・筆談・口話・残存聴覚活用などひとそれぞれであり、それぞれが用いるコミュニケーション手段を尊重することが重要であるため、手話だけでなく、他のコミュニケーション支援についても同時に条例を制定してほしいとのことでした。

 本年4月に施行しました本市の「岡崎市手と心でつなぐ手話言語条例」は、ろう者が手話という独自の言語を使って意思疎通を図る権利を守り、「手話は言語である」という認識が市民に浸透することを目指す中で、障がいに対する市民の理解、地域共生社会の実現の推進に寄与することを目的とする条例です。

 コミュニケーション支援条例制定に関しては、聴覚障がいだけでなく様々な障がいが対象となること、支援手段も多岐にわたることなどから、丁寧に検討を重ねて制定したいと従前から考えていましたので、「同時に制定する」という御要望に沿うことができませんでした。


 確かに、幅広い調整が必要になることも理解できます。

 また、コミュニケーション支援としては、障がい者だけでなく日本語が困難な外国人も視野に入れて考える必要もあるかと思います。

 この5月、国会にて『障がい者による情報の取得及び利用並びに意思疎通に係る施策の推進に関する法律』俗にいう『障がい者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法』が交付されました。

 できたばかりの法律ではありますが、社会的に影響があるのではないかと考え、本市としても早くから研究や検討をして体制を整えていくことが必要と考えられますので、いくつかの事柄について現状におけるご見解を聞かせていただきたいと思います。


【質問4】

 法の第4条において、国及び地方公共団体に施策の策定や実施に対して「責務を有する」という言葉が使われています。強い意味合いを感じますが、本市としてはどのように捉えられているかお聞かせください?


【答弁4】

 第5次障がい者基本計画では、『あらゆる障がい者が「自分らしく生きる」まちづくり』を基本目標の一つに掲げ、その実現に向けた推進施策を定めていますが、その中のひとつに「意思疎通支援の推進」を掲げています。

障がい者が地域社会の主体として、自ら望む場所で自立した生活を送るためには、必要とする情報を適切に入手、活用できるようにすることで生活の利便性の向上を図る必要があります。

「意思疎通支援の推進」では、その実現のために障がい者の特性に配慮した意思疎通支援施策に取り組むとしているため、今回の法律と本市の施策は合致していると考えています。

 

【質問5】

 今後、計画への反映や策定についてはどのように考えられるかお聞かせください?


【答弁5】

 「意思疎通支援の推進」では、「ICT等の活用を含め、行政情報の充実、発信に努めます。また、生活する上で適切な情報の入手や意思疎通ができるよう、点訳・音訳サービスや手話通訳、要約筆記など、障がいの特性に配慮した支援に取り組みます。」としています。

 現在の計画でも時代に応じた障がいの特性に配慮した支援が可能だと考えています。


 ICTによる技術革新はめざましいものがあります。積極的な調査研究や実証実験などを期待したく思います。


【質問6】

 障がい福祉課さんだけでなく全庁的に意思疎通の配慮がこれまで以上に必要になってくると考えられます。書類や掲示物、窓口対応など、職員さん一人ひとりへの教育とガイドラインの共有が重要かもしれませんが、ご見解をお聞かせいただくと共に、市政だより等の発行物において、現在、障がいのある人が情報を取得できる状態にあるのかをお聞かせください?


【答弁6】

 現在、職員に向けた障がいに関する研修としまして、障がい福祉課において、新規採用職員及び新任の副課長となった職員に対し、差別解消法に関する研修を実施しており、障がい・障がい者とは何か、障がい者差別とは何か、合理的な配慮とは何か、理解の促進を図っております。

 また、職員向けに障がいを理由とする差別の解消の推進に関する対応要領、合理的配慮のためのガイドラインを定めておりますので、今回の法の施行に伴う必要な見直しを図ったうえで、引き続き職員に対して周知をしてまいります。

 発行物のうち市政だよりに関しては、その内容を点字及び音声に起こし、希望する視覚障がい者に提供しております。

その他の市の発行物については、どのような対応となっているか現時点では把握できておりませんが、今回施行された推進法に伴う国等の動向に留意しながら、障がい者による情報の取得に関して必要な施策を検討していく必要があると考えています。

 

 知りたいという気持ちは障がいの有る無しに関わらず、誰もが等しく持つものだと考えますので、是非、検討していただけたらと考えます。


【質問7】

 指さしで意思疎通を行うコミュニケーションボードやアプリのUDトークなどのツール利用の充実が必要かと思います。

 庁内だけでなく地域のお店などにも周知啓発と実施が必要になると思います。

 どうしてよいかわからないこともあると思います。

 相談窓口の設置や出前講座、コミュニケーションボードを自作するためのオープンデータといった行政からの支援について、ご見解をお聞かせください?


【答弁7】

 具体的支援策は今後検討していくことになりますが、法律第15条に『「国民の関心及び理解の増進」について国及び地方公共団体は国民の関心と理解を深めるよう必要な施策を講ずる』とあるため、支援策を検討する際には、行政の支援が必要な場所や機会、ツールなどについて、聴覚障がいだけに限らず他の当事者団体や広く市民にも確認しながら進めていきたいと考えています。


 幅広い意見聴取や調査が必要だと思いますが、そうした行政の取り組む姿勢こそが当事者市民にとっては頼もしい姿に映ると思います。


【質問8】

 手話通訳者や要約筆記者についてですが、法整備によってどのように社会が変わり、両者のニーズが増えるかもしれません。これまで以上に育成に力を入れていかなくてはならないかもしれませんが、いかがお考えでしょうか?


【答弁8】

 人材育成には時間がかかるため、ニーズに追い付かないことが出てくるかもしれませんが、手話言語条例制定後ということも踏まえ、手話に興味を持ち、習得できるような講座を行うなど、環境整備に引き続き取り組んでまいります。

 

【質問9】

 色々とお聞かせいただきましたが、施策のさらなる実効性や予算措置等を考えると、早期のコミュニケーション条例の制定を期待しますが、ご見解をお聞かせください?


【答弁9】

 コミュニケーション支援条例の制定については本市としても取り組む必要があると考えているため、4月26日に開催された今年度第1回障がい者自立支援協議会において策定スケジュールの案を提示させていただています。

 障がいには聴覚障がい、視覚障がい、内部障がい、知的障がい、精神障害など様々な種別があり、年齢や生活状況等も一人一人異なるため、コミュニケーション支援条例制定についてはそれぞれの障がいの当事者、その支援者、さらには障がいを持たない市民などから、市民参加の手法を活用しながら幅広くご意見を伺って丁寧に策定してまいりたいと考えています。

 

 承知いたしました。

 既に一歩が進んでいると理解いたしました。

 急いて不備があってはいけません。丁寧な策定によって当事者の皆さんにとって、より良いものになることを心より期待しております。